懐かしくて色褪せないもの

世界が平和であればいいね

「海」を見た時に書いた詩

 

もう12月なので、家の整理をしています。

本棚が無くて本が床に平積みになっているためかなり散らかってる感じがします。

生活を侵食しつつあります。(危険)

 

ちょっと本棚を買って整理しないといけません。

本当は本を捨てるのが一番なんだけど、今ある本は全て愛着があるので捨てられない。

整理していると其処に昔使っていた手帳がありました。

色んなメモが残してあるのだけれど、其の一つに自分が海を見た時の感慨を写した詩が書き留めて合って、其れをちょっとブログに残して置きます。

 

 

 

 

 

1.あの海で水滴をあげて濡れてしまえるならば、きっと子どもなのだろう。金属の階段があって。トントントンと足で降りて行き、くたびれたように木々が茂っていて青々としていた。砂浜の上に流木がやけに滑らかに横たわっていた。白骨のように。

空間が日常と違うのだから。物体は海という原質によって浸食されているの。木々の青は海面の真っ青との対比だし、削られた砂浜は水流によって透過されている。此の空間はきっちりと海の空間なのだ。

 

2.この時代は終わらないでいてほしい。遅滞した魂の流露は決して、決して。終わらないでいてほしい。人間が誰一人目を覚ます前に。朝。心臓の音は大きく其れでいて,滑らかで厳かで繰り返される温かな音でした。「魂」が「腕」が「血流」が永久に繰り返されます。彼らはピタリと荘厳に幾度も幾度も私の胸に迫って、遠ざかります。全く同じ風景と全く同じ香りに見間違えるほど海は広大で無窮でした。千変万化する波はまるで、物語の途中のように、私の人生の一ページのように映じました。其の一ページはこの瞬間の内の物体に対しては永遠なのです。一遍の波間の内に私の生命は包まれていました。瞳に映る波の最後の一滴は、とてつもなく遅く鈍く光っていました。人間から遠く離れて惑星の経路みたいに豊かに砂を一粒一粒浚っていきました。一番小さくて尤も顧みられることがなかった一片の断面に宇宙が隠されているのかもしれません。

 

3.孤独な島の片隅には世界の人々が今まで見捨ててきた物が流れ着いています。波打ち際に長い年月を掛けてひょっくり届きます。其れは例えば、アルファベットの行間とか太陽を浴びた新鮮な朝の一掬いとか、青色のコーヒーカップの把手についた小さな罅とか、描きだそうとした文字の呼吸の曲面とか、枯れたシクラメンの気高い花びらとか、色褪せた書籍の背表紙とか……。空気や反転した気配や影や速度や円弧や筆跡や雪やなにか其ういうものが私には愛しく感じられます。触って触れて抱きしめてそうしてようやく分かります。見ただけじゃ分からないんです。聴いただけじゃ分からないんです。

 

4.尤も小さくて……静かで平凡であって人々が興味を惹かないものはあります。私は其の中に真実を探し出したいなと思います。穏やかな光で、シャボン玉のような木漏れ日が私の胸の内に宿っています。いつも私たち人間が穏やかで優しくいられますように。きっと。尤も柔らかく人の心を包んでしまえるもの。何もかもをを受容してしまえる無尽蔵で無条件な情愛があります。必要なのはきっと情愛です。

 

 

 

 

 

ああ、恥ずかしい詩だな~。

恥ずかしくなったのでおわり。