懐かしくて色褪せないもの

世界が平和であればいいね

「安部公房」はまず名前の読みが分からないのだ

 

 安部公房は小説としては、結構奇想天外な作品が多いので、読みやすいし今の人にも大分受けがいい良いように感じる。私も昔文庫本か何かで「人間そっくり」や「奴隷狩り」などを読んだことがある。物語の展開が早いので、スラっと短時間で読むことのできる作りになっていたと思う。あまり肩を凝らずに読むことができるよね。

 

 ただ当時読んだ時にはあまり印象に残らなかった。私には面白さがいまいち分からなくて……。確かに発想の奇抜さは面白いのだけれど、それ以上の魅力がどうも分からなかった。

 

 最近、安部公房さんの脚本の「幽霊はここにいる」の演劇を観た。此れは面白くて。台詞や登場人物の動きが実に活き活きしていた。安部公房さんの小説は演劇を意識して書かれているから、其れが文面に写し代えられた時に、矢張何割かの奥行は失われてしまうのだと思う。又安部公房さんの小説には台詞も多いよね。其れが読みやすさの秘訣にもなっているのだけれど。ただこの小説は掛け合いになっているので、実際に演劇で人がやり取りしてなんぼなんだね。だから安部公房さんの演劇と小説の落差には納得した。なるほどなと思って。

 

 演劇論も数多く書かれているので、恐らく小説よりの演劇に力を注いだ人なんですよね。という一人合点をしたのでした。安部公房さんの面白さの再発見をしました。