懐かしくて色褪せないもの

世界が平和であればいいね

ラース・フォン・トリアー監督

 

ラース・フォン・トリアー監督には鬱三部作と言われる三部作があって。

其れは 

メランコリア」「アンチクリスト」「ニンフォマニアック」なのです。

 

ラース・フォン・トリアー監督の作品で今までに私が観たのは「ダンサーインザダーク」と「イディオっツ」です。二つともふんわりと人間の温かさ・誠実さを描いた作品で、また同時に最後は現実的に、happyendとは必ずしもいかないのです。だから何となく此の監督が描きたいものは、社会の中での人間の役割・幸福・福祉といったものなのかなと考えていました。「イディオッツ」のストーリーは障がい者施設の話であって、さらに健常者が障がい者のふりをするというかなり穿った内容になっています。社会的生物である人間の生き方と其れに伴う挫折や孤独、ジレンマを映したかったのだと思います。私が観た此の2作品は似ていて、主人公は二つとも一途で誠実な女性になっています。

 

今日はずっと気になっていた「メランコリア」を観ました。絵が綺麗すぎるように感じました。まだ最近の作品なのでデジタル技術の発達という理由もあるかもしれませんが、ドグマ95を発足した監督にとっては非現実的な表現は嫌うと思っていたので意外でした。人間の精神面、地球が終末に向かう数時間で淡々と暮れて行く日常を描いた作品ですが、私が昔観たことのある他の作品とはちょっと毛色が違う感じだったので驚きました。個人的趣味で申し訳ないですが、鮮明な写真というよりも色褪せた写真の方が美学を感じるのです。物語も詳解されるよりも寧ろ足りないくらいの方が心地よいのです。

 

夜中に裸で川辺に寝転がるシーンと、結婚式場の空き部屋に積まれた椅子の上にドレスの儘座るシーンは、既視感があって日常の切り取り方が上手いなと思いました。

 

話が壮大すぎるので、勝手に日常的な作品を期待していた私にとっては、少し感情移入しづらかったかもしれません。 三部作の残りの二作も見たいなと思っています。

いつかね。