懐かしくて色褪せないもの

世界が平和であればいいね

『アンダルシアの犬』

 

普段自分が観た映画や読んだ本を雑記帳に漫ろにメモしているんですが、其の備忘録から、……。書いちゃえ。書いちゃえ。

 

『アンダルシアの犬』

狂気的な映像美術である。フランス語を解しなくても見れるという点は評価すべきだよね。つまり人体・大脳皮質の不可分について訴えかけるような。根源的な人間の錯視や歪曲、思い込み、慣習、予測を利用して作られている。脈略のない出来事を繋ぎ合わせるという手法。よって物語の筋を排している。瞬間、瞬間はバラバラなのだ。例えば一人の人間の生涯の一場面を任意に抜き出したような……。そして其れを作為的に並べ替えることを拒否する。

サルバドール・ダリが芸術家であるから定式化に対する反発が底に隠れている。でもここが難しいのだけれど、全くの出鱈目ではなく、一人の人間が意志する限りはその断片をある程度結ばなければならない。ダリは定式化しないという意味で物事を配列していた。極限まで行けば、人間の分解不可の部分が知覚できるから、逆に、その映画は人間と同等でかなりはっきりする。意志の方向性は人間に立ち昇って、ダリは其の纏う気概を拒絶することができなかった。

「殴り書きしてみなさい」とでも言われて、クレヨンで野放図に描いた曲線は、100枚でも描けば裏に人間性が現れてくる。混沌である程、無意識の表現性が表出する、と思う。

 

 

私はこの映画好きだな。だって、常識に対する反抗的態度がありありと見えるもの。

製作は、映画監督ルイス・ブニュエルと芸術家サルバドール・ダリ

娯楽映画というよりも芸術作品といった側面が強いかも。