懐かしくて色褪せないもの

世界が平和であればいいね

10月・11月 読書日記

此の2か月間読んだ本まとめてみます。

 

 

 

そんなにたくさんではないのね。

読書をするということは、一つ自分の内面を整理する作業でもあってその沈潜した時間によって自分の体調をkeepする意味合いも多分にあるのです。

何故なら手間の掛かる行為だから。

手間を厭わないことが好きだから。

私自身が面倒くさがりの性分だから、そうやって自分の好きなものには迂遠な方法でも到達することが出来る。

 

・『孤独と愛』ブーバー著 創文社

 古本屋さんで500円で購入しました。ちょっと奮発したのだけれど、購入した理由は自分の問題点に表題が触れていると感じたから。

 内容→→ 自分が交わった人々・風景に対して、其れらを「汝」(他者)と捉えるか「それ」(物質)と捉えるかで社会の建設方法が全く異なってしまうよというお話。1923年公刊の書物だけれど、当時から人間性が商品化されることへの危惧が醸されていたことに驚きを感じました。どのように自分が人と交わっていくかについて教えられる部分が多々ありました。とても詩的。

 

 

・『白夜行東野圭吾著 集英社

 私の知り合いの方が東野圭吾さんと知念実希人さんが好きらしくて、話題を合わせるために読んでみました。面白いかと言われるとう~~ん。と思ってしまう私のつむじ曲がり。あまりこういうタイプの本を読んだことはないので、やっぱりちょっと自分と切り離して読んでしまう。東野圭吾さんの本を何冊か読んでいた時期も昔あったので嫌いではないのですが、久しぶりに読んでみてあんまり自分が入り込めなかったなとは正直感じました。面白いとは思うのですが、ちょっと距離のある面白さですね。

 

 

・『カラマーゾフの兄弟』(第1巻~第3巻)ドストエフスキー著 岩波書店

 昔 途中で挫けてしまったので、再度読破に挑戦中!ロシア文学といえばドストエフスキートルストイ個人的にはガルシンとかを思い浮かべるけれど……ドストエフスキーは恐らくロシア社会の暗い反面から人間性を照らしているのだね。ちなみに私は『罪と罰』しか読んでいないです。それぞれの作家によってロシア社会の描写方法は様々であって、ドストエフスキーの手法は暗い路地裏の諍いから生命力を浮きだたせようとしたのだと思います。登場人物一人ひとりが世界を生き抜くための自己解釈、理論付を行っています。『罪と罰』においても、主人公が犯罪を犯す己を正当化する心理描写が物語のclimaxであると私は考えています。  

 第4巻を読むのが楽しみ。

 

・『マッシュ』リチャード・フッカー著 角川書店

 戦線で医療に従事する横紙破りの男たちのエピソード。朝鮮戦争を背景に描かれた小説で、敢えてパワーに満ち溢れた人々を主人公に据えています。作者が実際に出会ったらり聴いたりした人々を基に構成しているらしいけれど、本当にこんな人がいたのだろうか?と疑問に思ってしまいます。主人公達の会話のやり取りがかなり予想外の方向から飛んできます。

 映画もあるらしいので是非見てみたいのです。

 

 

・『日本の弓術』オイゲン・ヘリゲル著 岩波書店

 100ページ程の短い冊子です。日本文化の弓術に於ける精神を丁寧に紐解いています。外面的要素ではなく飽くまで内面的要素を育むために弓を手に取るのだよという解釈です。自分の内面が変化すれば外面も変化する。ショーペンハウアーは意志の哲学を唱えているけれど、私もその考え方に概ね賛成だな。

 

 

・『ビリー・バッド』メルヴィル著 岩波書店

 浦沢直樹さんの『ビリー・バッド』っていう漫画があるじゃないですか。あれを昔読んだことがあって、名前が同じだということで買ったのです。

 遺稿を再編集したものだということで、話の筋を辿るのに少し苦労します。船の乗組員のお話で、純粋な新人と船上の横暴が描かれているのだけれど何が言いたかったのかしら。話の終着点がよく分かりませんでした。けれど傑作らしい……。

 船上生活の描写は読んでいて面白いです。

 

 

・『防雪林・不在地主小林多喜二著 岩波書店

 誤った読み方だけれど、当時の慎ましやかな農民の生活に懐かしさを覚えます。子供心や朴訥な心根を描くことが非常に巧いなと思います。けれど小林多喜二さんが言いたかったのはそんなことではなく、搾取されていた農民の窮乏と惨状。其の地点を照らし出そうとしました。物語の中で、農民と雇用者の関係性は解決しません。熱量が噴き出したり冷めたり、突き進むことの忍耐力を感じました。

 農民の心を子細に写し取った小説だと思います。

 

 

・『数学をつくった人々(Ⅰ)』E.T.ベル著 東京図書

 数学の専門書ではなく、数学者と言われる人々の半生を抽出しています。全部で4冊あります。私は数学は考えるための方途を教えてくれると思うので好きなのです。闇雲に考えるだけでは意味がないことが多いのですから。数学が好きな人はきっと時間を無駄に使うことの大切さを知っているのだと思うのです。揺蕩うように時間が流れむことを!

 

 

 

 

 

・『物質と生命』服部静夫著 岩波書店

 

・『哲学入門』フランソワ・グレゴワール著 白水社

 これ等2冊は理解するのが難しかったので割愛します。

 

 

・『シートン動物記(上)』シートン著 旺文社

 動物をかなり擬人化して、動物行動学を気持ちから翻訳した記録。一人ひとりの動物が個性を持って描かれています。白土三平さんの漫画にも同じエピソードが描かれています。動物たちと人間の心理戦。狩猟を行う人間たちを超越した動物の生命力が充溢しています。美しいね。

 

 

*最近は寒いですね*