懐かしくて色褪せないもの

世界が平和であればいいね

『home land』season1

 此のドラマは面白い。

面白いのだけれどどうも単純な面白さでは形容できない。例えば、『インディー・ジョーンズ』やドラマ『メンタリスト』を見て私は素直に面白いと思う。けれど其れは感動ではない。

反対に、『ワンダフルライフ』や『ダンサーインザダーク』を見た時は感動して、其れは面白さではなかった。

ホームランド』は感動を面白さに置き換えようと試みた作品なのだろうと思う。

 

話の内容としては諜報員とテロリズムの話である。けれどアクション系では全然無くて、緊迫するシーンが半分、人間関係が半分といったところであろうか。其れも落ち込んだり巧くいかない人間の様が多く描かれている。

主人公はBrodyとCarrieだけれど、二人とも表と裏を持っていて、周りの人間からは理解を得難い気質として扱われている。

最終話も悲劇的で唐突な終わり方である。Carrieが更生のために電気療法を受け呻くシーンで急に画面は途切れる。見てる人はモヤモヤすると思う。物語に逐次展開する出来事が、大団円への布石としてなのか、破局への布石なのか分かりにくい。

結局、国家の狭間で揺れ動く一人の人間の心のありようを映すドラマである。内的葛藤を作り出すために、副次的に諜報員という状況設定を設えたはずだ。

けれど反対にサスペンスの要素を抜いてしまったら恐らく見ていられないから、其れも大変である。葛藤の重苦しいテーマがストレートだと、かなり見ることに忍耐力がいるのであるから。

人間の心理描写を感動でも楽しさでも悲しさでもなく「葛藤」にフォーカスした珍しいドラマだと思う。