懐かしくて色褪せないもの

世界が平和であればいいね

パチンコ玉と空間認識

 人が話すのを聴くにつれ、矢張り其処に取り立てて議題はなかった。

 

パチンコ店は当然鐚一文儲からぬ場所だと思っていた。しかし其れによって生計を立てる玄人もいるのであるから、一律に括るのもどうかと思うのだ。

不思議に思っていたのだけれど、「換金」いう制度があるらしい。パチンコ店内で金銭のやり取りは不味いからまず玉を、景品の金やプラチナが入っていると思しき封筒と交換する。すると隣に古物商が陣取っているから其処でその封筒と現金を交換する。そして古物商はパチンコ店と封筒を取引する。どうやらこういう構造らしい。チラッと聞いただけだけれど…。

何だか生態系の連関のような不思議な構図だな~~。と思った。

人から人の手へ一回づつ判で押したように綺麗に手渡されていくのである。

 

帰り道雨が降っていたので、スローなテンポで、傘の下から乗用車を見ていた。高速に少し怠惰に滑る車の疎らに対して、私はパチンコ店の話を思い返した。

一台一台繰り返される車の列に対し、其の車はかっきり一箇の空間を占めているのだ。空間は有限であり、二つが綯交ぜになることはない。一箇の空間に2台が同時に存在することは不可能なのだ。

 

だからパチンコ店の代替と車の移り行く空間が似通って見えた。

 

その日哲学者が空間に主題を置く理由が少しく分かった。

持論だけれど考えて考えきれないことはない。プラスの意味で。

 

 

私は”重力”を発見したニュートンは透明だと思う。其れ程、簡明な方法は……。