此れは、私の妹が考えた話です。 昔私に考えながら話してくれたものをうろ覚えながら記してみます。
ある処に、普通の平凡な男の子の兄弟がいました。二人とも小学生なので、毎日学校に通っています。ところが、ある時弟の身に不思議なことが起こりました。
通学路の所々で、何か黒い物体がいつもあるのです。電信柱と壁の間とか、遠くの曲がり角の辺りとか、分かりにくい処に小さくひっそりと黒いものがあることに気づきました。
弟は其れ以降、注意して道を観察するようにしました。すると其の黒い物体が鍵穴の付いた箱の形をしていることを見つけます。しかし其の黒い箱は何故かいつも閉じているのです。
ある日兄弟は、近くの神社の境内へ遊びに行きました。
其の時、弟は叢の中にいつも遠くから見ていた黒い箱があることに気づきました。しかもその箱の蓋が開いているのです!!
弟は箱に近づいて、箱の中に何があるか覗き込みました。
すると……!!
何と弟の体は一直線に箱の中に吸い込まれてしまいます。
弟は必死に手を出して箱の外側に掴まって踏ん張ります。
弟の右手以外の体躯はすでに箱の中です。真っ黒黒の空間が広がっています。何があるかもわかりません。
弟は叫び声を上げ、弟を助けようと兄が急いで駆けてきます。
兄はすぐさま弟の手を掴んだ!引っ張り上げようと頑張った!
だんだん弟の身体が現れてきます。
ああ、もう少しだぞ。
と安心した途端、兄の手がツルリ、そして箱がバタン!
兄は思わず一言。
「しまった!!」